Linux

Linuxとは
 Linux とはフィンランドの Linus Torvalds 氏が PC/AT 互換機用に kernel を書き直した PC-UNIX です.Linux の名前も kernel の作成者に由来しています。
http://cai.cs.shinshu-u.ac.jp/sugsi/Lecture/linux/h_01-03.html


開かれたLinux/”単なる”ユーザーのいないOS
YOMIURI_PC1999年10月号岩谷宏

 現在Linuxの上には、MicrosoftExcel完全互換の表計算ソフト、「一太郎」などいくつかの日本語ワープロ、性能的にはInternet Explorerと互角かそれ以上のWebブラウザー、業務用クラスの本格的なデータベース、画像や音楽などを制作加工するプログラム、などが揃っている。Linuxの母体であるUNIXオペレーティングシステムは30年も前から世界の最高クラスの大学や研究機関でひろく利用されてきたので、さまざまな分野の学術研究やコンピューターとネットワークの高度な利用を支援するプログラムの充実ぶりは、″消費者向けシステム″にすぎないWindowsの比ではない。数年前までは″ソフトが揃っていないからLinuxへの移行をためらう″という状況が一般的にあったが、ここ1~2年で急激に一般ソフトの充実も進んだ。
 LinuxとWindowsやMacなどとの間には重要な違いがいくつかある。まず第一は、後者の消費者向けシステムがオペレーティングシステムをコンピューター利用のための単なる楽屋裏と位置づけて、一般ユーザーに対してはカーテンの影に隠してしまっていることである。言い換えるとオペレーティングシステムはコンピューターシステムの最も重要な部分でありながら、それはWindowsなどの上ではユーザーには見えない部分、アンタッチャブルな部分である。対してLinuxは、オペレーティングシステムこそが人間のコンピューター利用の本質であり中心であるという正しい認識に立ち、あらゆる細部情報を一般ユーザーに対しても完全公開している。というより、Linux的世界ではプログラムの制作者提供者とその″単なる″ユーザーという裁然とした区別がなく、多くのユーザーがまた同時にLinuxシステムの進化成長への貢献寄与者だ。オペレーティングシステムに対する理解、利用、ユーザーによる部分的加工や変更/改良等々といった便宜は、Windowsがほぼゼロパーセント、Linuxでは100パーセントである。コンピューターを完全に自主的に使いたい者は今、Linuxへどんどん移行しつつある。

 もうひとつの重要な違いは、Linuxの上ではアプリケーションプログラムのほとんどが、「会社が作った商品ではない」という点である。プログラムの多くが、われわれと同類同格のコンピューターユーザーが作った作品であり、したがってソースプログラムも完全公開であり、またその多くはLinuxオペレーティングシステム本体がまさにそうであるように、インターネットの上から無料で入手できる。なぜ無料かというと、その理由は今のあなたご自身にも簡単に想像できることなのだ。あなたが何か便利なプログラムを作った。それを、世界中の人びとにも使わせてあげたい。しかしそれが企業の商品になった途端、世界中からのアクセス性は制限されてしまう。今の地球の上は、どちらかというとお金のない超貧乏な人びとが多いのだ。一方、作品を企業的な商品にしてしまった側にも、サポート責任とかさまざまな事務的作業とかの負担が生ずる。プログラムを作ることは好きだが、そんな事務的会社的な面倒はごめんだ、という人が、特にUnixの周辺には昔から多い。だから自分が作ったプログラムは無料で世の中に提供する。そのときソースコードも公開するのは、ソースがないとプログラムを理解する道がふさがれ、また、書くユーザーが自分の目的に合わせてプログラムを改良/拡張することもできなくなる。(後略)

1942年生まれ。編集者、音楽プロデューサーを経て、コンピューター関連の著述業に転身。著書に「思想のためのインターネット」「パソコンを疑う」「パソコンを鍛える」などがある。