化学物質汚染,1300,越境酸性雨に挑む/列島ドキュメント,NHK総合1991.7.15 22:30-,,K1669,,
石川県の海岸地方の松の立ち枯れ‥‥松食い虫のせいではない
世界の酸性雨被害
石川県白山の雪の酸性度調査
東京や千葉の酸性度より強い‥‥ほとんどが二酸化硫黄のため(石炭を燃やしたときに出る)

冬型の季節風‥‥大陸の汚染物質が日本に流れてくる。
中国は1500万トンの二酸化硫黄の排出(日本70〜80万トン)
1990年秋、国境を超える「環日本海の酸性雨問題のシンポジウム」
菱田一雄さん(40年間、東京都公害局大気汚染防止対策の担当官であった)
5年前から中国の公害防止対策に招聘され越境酸性雨防止に取り組む

今回、大阪府立大学教授、前田泰昭(ヤスアキ)氏が同行
酸性雨について認識していても経済力、技術力なく対策は皆無
四川盆地などが最大の公害汚染地域
西都‥‥火力発電所(一基数十億円のため排煙脱硫装置がついていない)、工場が多い(燃料に石炭が使われる。ボイラーの燃焼効率が悪い)

磨崖仏の被害
中国の我眉山(植物の宝庫その数3700)に立ち枯れがおおい。
標高2500mを越えると枯れ木が目につく
山頂ふきんでは8割以上の冷杉が立ち枯れしている

酸性雨、酸性霧(PH3‥‥食用酢の濃度)の影響である
撫順(遼寧省)‥‥中国有数の重工業地帯
近くの都市を合わせると日本全体の排出量を上回る
撫順炭田(東西6.6`南北2`)‥‥良質の石炭は輸出
国内では品質の悪い石炭を使う

まず第一に熱効率をよくして石炭の使用を抑えることを訴える。
今年6月14日から「環境と開発に関する発展途上国会議(41ヶ国)」が北京で行われる。
中国と韓国、日本には200個所に及ぶ観測網があるがお互いにデータの交流はない。
日本の経済的豊かさが豊かでないところの公害対策にも使うべきである。
大気に国境はない。
 

概論(未整理),1720,宇宙の中の地球,UTAN1990.11.1

地球を閉ざされた環境として捉える限り、問題の解決は不可能。これからは宇宙の中の地球という、開かれた観点で考えなければいけない。
国家が自国の利益ばかりを優先する事を止め、人類全体が「宇宙船地球号」の乗組員であるとう自覚を持てば、さまざまな問題に対する対策も見つかるだろう。アポロ11号が写した地球を見てもわかるように、地上には本来、国境など無いのだから。

ゴミ問題,2970,ゴミ社会をどう克服するか,読売新聞,,,,1994.10.13社説

一般廃棄物の最終処分場は首都圏ではあと4.8年、全国では7.8年で満杯になるという。‥‥この事態に厚生大臣の諮問機関、生活環境審議会の専門委員会は、包装や容器に使われる資源ゴミを減らすための新制度に関する報告書をまとめようとしている。

素案によると缶、瓶、紙、プラスチックなど四種類程度の資源ゴミを再利用するため引き取る第三者機関を設置し、清涼飲料水や食品などの製造・販売業者に処理費用の負担を義務づける。
消費者は、今以上の分別への協力を求められるとともに、メーカーなどが価格に上乗せする分を負担する。市町村も徹底した分別収集に伴う費用が負担増になる。三者が経済的負担を分かちあうことをテコにゴミの排出を抑制し、分別、再利用を促進して減量化しようとしている。

あふれ出るゴミの状況を考えると現実の検討に値する構想だ。報告書を基に広く国民的な議論がされることを望む。

大量生産、大量消費のツケで一般廃棄物は五年間で13.5%も増え、年間5000万tを超える。一方、資源ゴミの分別収集をしている市町村は四割にとどまる。再生資源利用メーカーに費用を払って引き取ってもらう「逆有償化」現象が起き、せっかく分別したゴミをリサイクルせずそのまま埋め立てる市町村もあるという。

減量化、リサイクルを進めるには現行法は限界がある。廃棄物処理法はゴミを減らせば得になり、増やせば損をするという仕組みになっていない。再資源化法(リサイクル法)が施行されても資源化率は伸びない。対象品目が紙とガラスだけで、しかも再利用が採算性のとれる範囲に限られているため減量化に弾みがつかない。

ゴミ処理の事業費は1兆6000億円に膨れ上がり、市町村の重い負担になっている。財政規模の5-6%を占め、10%を超えるところもあるという。用地の確保が難しい今、埋め立て地の寿命を長持ちさせるためにもゴミ減量に経済的手法を活用する時期にきている。

素案にある容器・包装回収システムの中核になる第三者機関は財団法人のような公益法人を考えているようだが、性格がまだよくわからない。行革の流れに逆らうような特殊法人であってはならないし、仮に財団法人であったとしても天下りの受け皿になるようなことは厳に慎みたい。
責任と役割を明確にするためにも、あくまでも民間主導の機構にすべきであり、それがゴミ問題に取り組む意識を高めることにもなる。

分別収集が進むと資源ゴミが飛躍的に増えることが予想されるが、それをどう受けとめるか、自治体や再生資源利用メーカーなどとの調整も今後の課題だ。

政府の新しい公共投資基本計画でも「ゴミゼロ社会を目指し、二十一世紀初頭に循環型廃棄物処理に転換する」としている。専門委員会の報告書に盛られる考え方を、現実に向けた一歩としたい。
 

化学物質汚染,3790,田中正造,メモ,,,,1994-10-25
天保12年(1841)11月3日、足尾山地からの伏流水があふれるように湧き出る山紫水明の地、下野国安蘇郡小中村(佐野市小中町)の名主の家に生まれた。17歳の若さで父から名主を継ぐと、領主六角家の改革を求め、投獄にも屈せず、要求を貫きました。

その後、江刺県鹿角郡花輪町(秋田県鹿角市花輪)の官吏になり、無実の罪で東北の牢に入れられ、その中で「西国立志篇」を暗唱しました。小中に帰ると、区会議員・県会議員に当選、栃木(いまの下野)新聞を再刊して、板垣退介・大隈重信らと自由民権運動に奔走しました。

明治23年(1890)最初の衆議員議員に選ばれ、以後六回連続当選、伊藤博文・山縣有朋らの藩閥政府を鋭く批判しました。

足尾鉱毒事件が起こると、群馬県邑楽郡渡瀬村(館林市)の雲竜寺を鉱業停止請願事務所として、勝海舟・谷千城・内村鑑三らの支持を得て、鉱業停止請願の大運動を起こしました。自らは『亡国に至るを知らざればこれ即ち亡国』と政府に迫り、明治34年(1901)ついに議員を辞め、死を決して明治天皇に直訴し、満天下の人心をゆり動かしました。

当時、盛岡中学三年生であった石川啄木もその一人であり、この感動を「夕川に葦は枯れたり血にまどふ民の叫びのなど悲しきや」と詠んでいます。

困った政府が、鉱毒は水害によるものと問題をすりかえ渡良瀬川下流の谷中村を遊水池にする計画を強行するや、「谷中が滅びることは日本が滅びることだ」と、残留民と共に人権・自治を守る抵抗を続けました。一方、聖書に触れ、非戦や治水を論じました。

大正2年(1913)9月4日、足利郡吾妻村下羽田(佐野市下羽田町)の農家で、山川の荒廃や「正造の事業に同情するものがいない」ことを怒りながら73歳(かぞえ)の心算に満ちた生涯を閉じました。遺骨は思慕する農民たちによって、分骨奉祀されました。

足尾鉱毒事件は公害の原点であり、地球環境の危機が叫ばれている現在「余は世の中を清むるものなり」と正造の声が甦ってきています。

「真の文明は山を荒らさず川を荒らさず村を破らず人を殺さざるべし」
明治45年(1912)6月17日、正造の日記の一節。
 

化学物質汚染,4100,TPT(トリフェニルスズ化合物)汚染,UTAN,,,,1990.11.1
船底、漁網に海藻や貝類が付くのを防ぐため、防汚剤として使用されている有機スズ系化合物。
環境庁が行った全国調査によると、水質、底質、魚類のいずれからも非常に高い率で高濃度のTPTが検出された。特に内湾や河口などは深刻な状態であり、最も汚染の激しい瀬戸内海のスズキは、刺身一切れでWHOの定めた許容摂取量を軽くオーバーする。

背曲がりや鼻欠けの奇形魚が、TPTの影響ではないかとの疑いもある。動物実験では白血球の減少、妊娠率の低下が確認され、慢性毒として作用する恐れがある。
1989年12月、政府はTPTの製造・輸入を届け出制にする事を決めたが、最近のレジャー船ブームによる汚染の拡大が危惧されている。
 

森林,4170,シロアリは舶来好き,上毛新聞,,,,1991.10.25
市民団体が住宅調査/輸入材多用で3分の1被害

‥‥最近は輸入材の多用で3分の1の家が被害を訴え早ければ建築後3年で被害が出始め、20年後には約7割が被害に遭っていることが、県内の自然愛好家などで組織する「森林(やま)の会」(奈良節夫代表幹事、会員600人)の24日までの調査で明らかになった。同会では詳しい調査結果を来月の同会報告会で発表するが、ヒノキなどシロアリに強い国産材の見直しが叫ばれる中、一つのデータとして注目されそうだ。

‥‥調査は同会が木に関する勉強会を重ねるうち、昭和35年の木材輸入自由化以降に建築された輸入材使用の住宅が、特にシロアリの被害が目立つことから思い立った。今回の調査は8項目のアンケート方式で、会員600人と前橋市を中心にした市民200人を対象に行われ、609人から回答が寄せられた。
集計結果によると、35%に当たる212人がシロアリの被害を受けた経験があった。内訳は建築後0〜10年未満25%、10〜20年未満43%、20年以上16%、いつ被害に遭ったか不明16%だった。この中には建築後3年で被害を受けた例もあった。現在、木造住宅の土台部分の50%は輸入材で、輸入材を何らかの形で使用しない住宅はないといわれ、シロアリの猛威を見せつけている。

さらに、木造住宅の主要材となっている北米産のベイツガやベイマツは、防蟻剤を塗布しても効果は5年前後で、シロアリには弱いことを約60%の人が「知らない」と答えた。家を作る際に価格ばかりに気を取られ、材質は業者任せが覆いという一面ものぞかせた。

シロアリの材木被害では、宮崎大農学部が行った実験でベイマツ、ベイツガ、クロマツ、スギの食害率が高いのに比べ、ヒノキ(特にヒバ)にはヒノキチオールというシロアリを死滅させる成分が含まれ、ほとんど被害は認められないことが報告されている。

同会の宮下正次事務局長は「確かにヒノキは輸入材に比べて価格は2倍近いが、住宅建築費用の中で木材の占める割合は20〜30%前後。長い目でみれば、少々高い木材を使用してもメリットは大きい。古い神社や仏閣はヒノキ造りで、歴史がそれを証明している」と指摘。「家が長持ちすれば余分な木を切らずに済む」と地球環境の保護にも役立つことを強調している。

生物の多様性を守る,1180,66種が絶滅寸前に/ジュゴンなど日本周辺の水生生物/データブック、水産庁が作成,山形新聞,1999年1月30日,1,,

 日本周辺に生息する水生生物のうち、マリモやジュゴン、カブトガニなど六十六種も野生物が絶滅寸前だとする希少生物のデータブックを、水産庁が三十日までにまとめた。調査した種や亜種のうち、半分以上の二百二十五種が生存基盤が脅かされている。これまで環境庁が検討対象としていなかった海産生物まで含む水生生物調査の集大成で、日本の野生生物の置かれた厳しい状況があらためて明らかになった。

 水産庁は絶滅が心配されるミヤコタナゴなど十三種類の生物について、北海道など十道府県と協力して、遺伝子レベルの保存まで含めた種の保全に取り組む。

 調査は、軟体動物、淡水魚類、ほ乳類、昆虫など十の生物群に分け、文献調査に一部現地調査を加えて、生息状況を検討。絶滅の危機に瀕している「絶滅危ぐ種」、絶滅の危険が増大している「危急種」、種の存続基盤が弱い「希少種」など六段階に分けて評価した。

 淡水魚類は、調査した六十五種中、千葉、埼玉、栃木各県にすむミヤコタナゴや大阪府、香川県、九州北部のニッポンバラタナゴ、長良川のサツキマス、沖縄県のリュウキュウアユやメダカなど十五種が絶滅危ぐ種とされ、生息状況の深刻さが際だった。ほ乳類の絶滅危ぐ種は高知県のニホンカワウソ、沖縄県南部の海域にすむジュゴンなど七種。水鳥はエトビリカやウミスズメなど北海道の鳥に個体数の減少が目立ち、十種が絶滅危ぐ種と判定された。

 危ぐ種、危急種、希少種の総計は二百二十五種。調査対象の50%以上の高率。原因としては、開発による生息地の破壊や水質汚染のほか、ざりがに(危急種)や沖縄のメダカのように外部から持ち込まれた「移入種」による影響も指摘された。
 

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