2008〜
日本女性差別撤廃条約NGOネットワーク

Japan NGO Network for CEDAW (JNNC)

2008年11月20日
正文:英語
先行・未編集版
「第6次日本レポートの審議に関する課題および質問事項一覧:日本」
大谷美紀子訳:日本女性差別撤廃条約NGOネットワーク(JNNC)世話人

1.会期前作業部会は第6回日本定期報告書(CEDAW/C/JPN/6)を検討した。
第44会期
2009年7月20日−8月7日


【全般】

1.第6回報告書は、政府により採択されたものか否か、及び、議会に報告されたか否かを説明して下さい。

【憲法、立法及び制度的枠組みと条約の地位】

2.報告書は、「男女共同参画会議監視・影響調査専門調査会」が委員会の前回の総括所見 を踏まえた各府省における取組状況について検討を行い、男女共同参画会議の意見として取りまとめ決定されたと述べている(パラ4参照)。2005年7月の「男女共同参画会議監視・影響調査専門調査会」が取りまとめた提言及びこれらの提言を実施するために採られた措置についての情報を提供して下さい。

3.前回の総括所見(A/58/38、パラ357)において、委員会は、国内法に差別の具体的な定義が欠如していることについて懸念を表明し、条約1条に沿った、直接及び間接差別を含む、女性に対する差別の定義を国内法に取り込むよう勧告した。委員会の勧告を受けて政府がどのような措置を取ったか示して下さい。

4.女性差別撤廃条約が、国内裁判所で援用され、または、言及されたことがありますか。あるとして、結論はどのようなものでしたか。さらに、裁判官及び法律職一般の間で本条約についての認識を高めるために、どのような措置が取られたか具体的に述べて下さい。

5.第2次男女共同参画基本計画(報告書パラ29参照)の実施の現状及び達成された進展について述べて下さい。回答には、男女共同参画の具体的な実現に向けた、計画が掲げる12の各分野について設定された各施策の影響に関する情報を含めて下さい。

6.報告書は、政府が、人権委員会を設置する人権擁護法案を検討していると述べています(パラ44参照)。普遍的定期的審査の最後に人権理事会において日本がなした誓約(A/HRC/8/44/Add.1、パラ1(a)参照)に照らし、パリ原則に則った国内人権機関の設置に向けてなされた進展について示して下さい。


【女性に対する暴力】

7.女性に対する暴力に関する委員会の一般的勧告19を念頭に置いて、加害者の訴追、シェルターや被害者保護のための接近禁止命令、及び、様々な集団(警察、弁護士、保健及びソーシャルワーカー、及び、裁判官など)、並びに、一般市民のための能力構築及び意識啓発プログラムの導入などの、被害者に対する保護と支援の提供を含む、女性に対するあらゆる形態の暴力と闘うための包括的な戦略の開発のために取られた措置を説明して下さい。

8.前回の総括所見において(CAT/C/JPN/CO/1、パラ24 )、拷問禁止委員会は、「軍事基地に駐留している外国の軍事要員を含む、軍人による女性及び少女に対して行われる暴力を防止し、訴追するための効果的な措置の欠如」について懸念を表明した。この懸念に対し、取られた措置を具体的に述べて下さい。 (訳者注:パラ24の誤記と思われる。)


【人身売買及び売春による搾取】

9.報告書は、2005年6月に制定された「刑法等の一部を改正する法律」が、人身売買を犯罪として規定し、この犯罪のための処罰を導入したと述べている(パラ172参照)。報告書別添21は、2001年から2005年までに人身売買を行った者に対する訴追件数についての統計情報を提供している。新法の制定から現在までの統計データ、並びに、有罪と刑罰に関する、これらの訴追の結果についての更なる詳細を提出して下さい。

10.前回の総括所見において(CAT/C/JPN/CO/1、パラ25 )、拷問禁止委員会は、政府が発行する興行ビザの多用により促進されている国境を越えた人身売買、並びに、人身売買の被害者が不法移住者として扱われ、救済や補償もなしに送還されることにつながる、被害者に対する支援措置の不十分な性質について懸念を表明した。これらの懸念に対処するために取られた措置、及び、人身売買の証人及び被害者に対し与えられる保護措置及び支援について述べて下さい。( ※訳者注:パラ24の誤記と思われる。)

11.売春の根本的な原因に取り組み、女性及び少女の性的搾取を防止し、売春の健康上及び安全上の危険性についての認識を高め、売春をやめたいと考えている売春者の保護、リハビリテーション、及び、社会統合を確保するために取られた措置についての情報を提供して下さい。

12.前回の総括所見において(CRC/C/15/Add.231、パラ51)、子どもの権利委員会は、「援助交際」ないし、金銭の授受を伴うデートの慣行、及び、この慣行に寄与し、かつ、子どもの性的虐待の訴追を妨げうる、性交同意最低年齢が低いことについて懸念を表明した。報告書は、「援助交際の名の下に行われる性的行為が急速に増加している」ことを認めている(パラ201参照)。これらの懸念に対処するために、どのような措置が取られたか示して下さい。


【政治的及び公的活動への参加並びに国際レベルにおける代表】

13.報告書は、管理職における女性の国家公務員の数及び割合が少なく、グラフは、減少傾向を示していることを述べている(パラ228参照)。締約国(日本)は条約4条1項及び委員会の一般的勧告23及び25に従い、暫定的特別措置を含む管理職レベルにおける女性の参加を増やすためにどのような措置をとる意向であるか説明して下さい。

14.報告書において提供された統計データによれば、多くの領域、特に国会(2005年に衆議院では9%、2004年に参議院では13.6%)、国家公務員(2006年における全省における割合は9.1%)、裁判官(2005年は13.7%)、地方自治体並びに地方議会の意思決定における割合の低さが続いている。委員会は、前回の総括所見において(A/58/38、パラ368)、締約国は、暫定的特別措置の実施を通じ、政治的及び公的活動における女性の参加を増やすよう勧告し、締約国に対し、将来の女性指導者のための研修プログラムを支援し、男女共同参画実現のための意思決定に女性が参加することの重要性に関する意識啓発キャンペーンを実施するよう要請した。様々なレベルと政府の部門において女性の数を増やすために締約国により暫定的特別な措置の採択を含むどのような措置が取られましたか。


【ステレオタイプと教育】

15.報告書は、高等教育機関における女性の割合が、依然として男女差が存在する(女性36.6% 、男性51.3%)大学レベルを除き、上昇していると述べる(パラ15参照)。この差を縮めるために取られた措置について情報を提供して下さい。( 訳者注:報告書パラ15では、36.8%と記述されており、誤記と思われる。)

16.報告書は、大学及び短期大学における女性教員数及び割合がいずれも増加傾向にあることを示している(パラ17参照)。一方で、女性は教員の18.7%に過ぎない。大学及び短期大学の教員における女性の参加を増やすために取られた措置を示して下さい。

17.委員会が第4回・5回日本定期報告書を審議した建設的対話において、公務員による性差別発言の問題が委員会の委員により提起された(CEDAW/C/SR.617、パラ59)。女性の品位を下げ、女性を差別する不平等で父権的な制度を象徴する、侮蔑的な性差別発言を公務員が行わないことを確保するために、どのような措置が取られたか示して下さい。


【雇用及び仕事と家庭生活の調和】

18.報告書は、産休及び育児休業のいずれの権利についても触れていない。女性と男性の両方に対する育児休業の権利、並びに、男性が育児休業をとることを奨励するために取られる措置を含む、男性が育児休業の便宜を利用する割合について示して下さい。

19.報告書は、女性労働者と雇用者との間の紛争が起こった場合の調停に向けた紛争解決制度が機能していると説明するが、調停がうまくいかなかった場合についての情報を提供していない(報告書パラ303−305参照)。改正雇用機会均等法違反の場合、被雇用者はどのような法的手段が利用できるのか、また、同法上の義務違反が認定された雇用者に対して、どのような制裁が予定されているのかを示して下さい。女性が申立てた事件数とその結果についての統計を提供して下さい。

20.報告書は、改正雇用機会均等法が、ポジティブ・アクションを実施する事業主に対する援助を行うと述べている(パラ292参照)。事業主が実施したポジティブ・アクション、改正法の下で事業主が受けた援助、及び、そのような援助が女性労働者にとってどの程度有益であったかについての更なる情報を提供して下さい。

21.報告書によると、2005年、女性労働者(パート労働者を除く)の平均賃金は男性労働者の65.9%だった。厚生労働省が2003年に作成した、適用が任意である「男女間の賃金格差解消のための賃金管理及び雇用管理改善方策に係るガイドライン」以外に男女賃金格差に対処するために策定され、取られた措置について説明して下さい。

22. 報告書は、改正雇用機会均等法に関する指針が改正されたと述べている(パラ290参照)。この指針、特に、この指針の雇用管理、募集・採用、配置(仕事の配分や権限の付与を含む)及び昇進に関連する項目において、間接差別がどのように含まれているかについて、詳細を提供して下さい。

23.改正雇用機会均等法の下で事業主が職場におけるセクシュアル・ハラスメントを防止するために取る義務がある措置(報告書パラ61参照)についてさらに詳細を提供して下さい。この改正法が違反の企業名を公表する以外の遵守を強制するための制裁措置を含んでいるかについて明らかにして下さい。改正雇用機会均等法の実施により予定されている新しい措置がどの程度実施されたかについて述べて下さい。


【マイノリティ女性、移住女性、難民女性とその他の社会的弱者】

24.前回の総括所見(A/58/38、パラ365)において、委員会は締約国に対し、次の報告書において、日本におけるマイノリティ女性の状況について、教育、雇用、健康状態、受けている暴力に関し、性別に分類されたデータを含む包括的情報を提供するよう要請した。そのような情報を提供して下さい。

25.報告書は移住女性や難民女性の状況について何ら情報を提供していない。そのような情報、特に、移住女性や難民女性の経済的、社会的状況、並びに、移住女性・難民女性を支援し、暴力や搾取から保護する適切な施策について、情報を提供して下さい。

26.報告書は女性が男性より長寿であることを示し(パラ13参照)、人口の高齢化率は急速に伸び続け、2025年には28.7%、2050年には35.7%になるとの見込みを示している(パラ14参照)。日本において高齢女性が直面する健康上のリスクその他の脆弱性にかんがみ、介護制度の改善をこえて、高齢女性層を対象にした政府の政策とイニシアチブについても述べて下さい(パラ110-114参照)。


【健康】

27.報告書は10代の人口のうち妊娠中絶の割合が2004年において1000人の女性中10.5人であったと述べている(パラ355参照)。思春期の女性が年齢に見合ったリプロダクティブ・ヘルス及び家族計画に関する情報、ならびに利用可能な避妊方法を入手できるように、リプロダクティブ・ヘルスについての教育を含む、包括的な性教育計画を推進するためにどのような措置が取られていますか。政府は妊娠中絶を犯罪でなくすことを計画していますか。


【婚姻及び家族生活】

28.前回の総括所見において(A/58/38、パラ371)、委員会は、民法が、婚姻最低年齢、待婚期間、及び婚姻夫婦の氏の選択についての規定を含む、差別的な規定を含んでいることについて懸念を表明した。報告書は政府が女性に対する差別となる民法の法規定を廃止するために具体的な措置を取ったと述べていない。これに関する情報を提供して下さい。


【離婚の経済的結末】

29.関係解消に際し分与される財産の種類に関する情報を提供し、かつ、特に、法は無形財産(すなわち、年金基金、退職金、保険)を(訳者による補完:財産分与の対象として)認めているかについて述べて下さい。また、法は将来の稼働能力の分配について規定しているか、または、解消の際における財産の分与において何らかの方法で稼働能力の向上または人的資本を考慮するかについて述べて下さい(例えば、この種の財産についての他方配偶者の持分を反映させた一時金の授与、または、保障的な配偶者扶養を認めることによるなど)。


【選択議定書】

30.委員会の前回の総括所見に照らし(A/58/38、パラ375参照)、女性差別撤廃条約の選択議定書の批准についての進展を述べて下さい。



訳者注:女性差別撤廃委員会の審議の結果採択される文書は、以前は"concluding comments"と呼ばれ、日本語では「最終コメント」と訳されることが多かった。現在、委員会は、条約機関の作業の調和の一環として他の条約機関との用語の統一化を図っているようであり、今回のリスト・オブ・イシューズでも"concluding observations"が用いられている。最近、この訳語として「総括所見」が用いられる傾向にあることから、本翻訳でもこの訳語例にならった。

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