日本女性差別撤廃条約NGOネットワーク
Japan NGO Network for CEDAW (JNNC)



JNNC ランチタイムブリーフィングでの
日本NGO発言内容

1. 自由人権協会 (紙谷雅子)
今こそ「司法関係者へのジェンダー研究」と「独立した国内人権委員会」を!
女性差別撤廃委員会による第4回・5回日本政府定期報告書審査に対する自由人権協会声明

女性差別撤廃条約の履行状況に関して,多くの指摘すべき点があるなか,自由人権協会(JCLU)は以下の2点について声明する.JCLUは1947年に設立された日本のNGOであり,信仰・宗教・政治的立場に関わらず全ての人々の基本的人権を擁護・推進することを目的としている.JCLUの活動は世界人権宣言の理論と合致するものである.
以下の事項の詳細および他の事項についてはJCLUのNGOレポートを参照されたい.

司法分野関係者に対する教育・研修
強姦事件で被害女性の性体験・貞操観念が問題とされ無罪となった判決,セクシュアルハラスメント事件で十分抵抗しなかった被害者に非があるとされた判決,DV事件で裁判官が「女房が理屈を言えば殴る」と発言した例等,人権の最後の砦であるべき司法の場において,ジェンダー・バイアスにより女性の権利侵害が放置され,逆に被害女性を傷つける二次的被害すら生じている.十分な救済実現のためには,司法関係者全般(法曹三者に加え,警察官,矯正職員,調停委員並びに今後導入予定の裁判員,法科大学院の学生を含む)へのジェンダー教育・研修が急務である.かつ,教育・研修内容は,第5次報告のにある女性に対する暴力だけでなく,性別役割分業や社会構造的性差別を含むあらゆる性差別問題をカバーすべきである.

国内人権委員会
国内人権委員会の設置に関して,現在の法案は,権利侵害の主体となりうる政府機関からの独立性および実効的救済権限が確保されておらず,また,雇用・労働条件における性差別が管轄外とされる等,女性の権利の実効的救済にとってきわめて不十分である.政府は法案を見直し,独立性と十分な権限が確保され,あらゆる女性差別を救済しうる機関設置を早急に実現すべきである.

2. VAWW-NETジャパン (渡辺美奈)

今日は、限られた時間の中で、2点強調してお伝えしたいと思います。一つ目は、アジア女性基金は失敗した、ということです。アジア女性基金は、民間から寄付を集めて、いわゆる「償い金」を被害女性たちに与えた民間団体です。アジア太平洋地域で「慰安所」制度から被害を受けた何千、何万もの女性のうち、たった285名がこの施しを受け取りました。また、この施し政策から排除されている国もあるのです。

アジア女性基金が失敗した原因は、被害女性にとって尊厳を回復するものではなかったからです。60年経って、今もなお日本の政治家たちは被害女性を売春婦と呼びます。軍の強姦所において、まるで女性たちに行動の選択の余地があったかのように。60年経って、性暴力の被害者たちは、未だに非難され続けているのです。

日本政府は、あれは彼女たちが悪かったのではなく自分たちが悪かったのだ、と認めなくてはなりません。長すぎる間苦難を強いられた、これほど多くの女性たちの社会的汚名をはらすために、日本政府は彼女たちに対し、ずっと前に提供を済ませるべきであったものを提供しなくてはなりません。つまり、日本政府は、彼女たちの苦しみに対し法的責任があることを認めなくてはなりません。個々の被害女性に対し、完全かつ真摯で意味のある謝罪と国家による法的な損害賠償などの補償を行わなくてはなりません。

9年前、委員会は日本政府に対して、「外国人及び移民の女性を含むすべての女性の十分な人権の保護を確保する」ことを求めました。私たちはなぜまたもこの場で、日本政府が女性差別撤廃条約に基づいてその義務を果たすことを、何度も繰り返し求めなくてはならないのでしょうか。ありがとうございました。

3. 日本弁護士連合会 (寺澤勝子)
第1 2001年10月、DV防止法が施行されたが、同法の保護命令の対象を「身体的暴力」に限定し「性的強要」「心理的脅迫」を含まない、恋人や元配偶者からの暴力に対して申立できず、被害者の親族や子どもは申立人できないなどの問題がある。また、接近禁止命令による禁止すべき事項に電話やメールなどによる脅迫が含まれないなどの問題があり、これらの点が改正されるべきである。

第2 セクシュアル・ハラスメントを規制する法律はなく、改正男女雇用機会均等法第21条で事業主のセクシュアル・ハラスメントに対する配慮義務を定めているのみである。被害者は損害賠償請求をするしかないが、「警戒心が足りなかった。」「必死の抵抗をすべき」といった理由で慰謝料を減額する判決もあり、認容される慰謝料が低額であるため、被害者の救済にならず加害行為者への制裁にもなっていない。職場、教育の場など社会のあらゆる場面において、明確にセクシュアル・ハラスメントを違法として禁止し、迅速で実効性のある救済をなすべきである。

第3 均等法は同法に基づく指針において、「雇用管理区分」が異なれば男女差別には当たらないとするため、実際の昇給、昇格における男女差別はなくならない状況にある。均等法に間接差別の禁止を明記し、指針を改め実質的平等を確保すべきである。更に、パートタイム労働者については、69%が女性であり、一般男性労働者の所定内給与の約43%と低く、40%が有期雇用であり身分も不安定である。しかし、政府は「日本型均衡処遇原則」を行政指導するとするのみであり均等待遇原則を明記したパートタイム労働法の改正または制定が必要である。

第4 在留資格のない外国人女性は健康保険、生活保護の適用を受けられないため、救急医療を含め医療へのアクセスが実際には困難な状況にある。トラフィッキングの被害者を含む外国人女性に対して保健医療、一時保護施設など社会サービスへのアクセスを保障すべきである。
4. 反差別国際運動日本委員会 (原由利子)
JNNCランチタイム・ブリーフィングでの発言(2003年7月7日)
原 由利子(IMADR-JC事務局長)


 反差別国際運動日本委員会を代表して、日本に住むエスニック・マイノリティ女性および外国人女性について特段のご注目を頂きたいと思います。彼女たちの存在は、日本政府だけではなく一般の人々の間でも見過ごされているのです。
 女性差別撤廃条約の締約国が、国籍、民族的出自、市民権、法的地位にかかわりなく、領土内に在住するすべての女性に対する差別を撤廃する義務を負っていることは言うまでもありません。しかし日本政府は、その締約国としての義務を認識していないのです。日本政府は、被差別部落、先住民族アイヌ、沖縄、在日コリアンといったマイノリティ・グループに属する女性の状況について、さらには、移住労働女性や人身売買された女性、日本人男性と結婚した外国人女性の状況について、報告していません。憂慮すべきことに、彼女たちの状況を示すどのような公的データも、それを改善するためのいかなる政策も、ほとんどないのです。
 政治的・公的活動、教育、雇用へのアクセス制限に加え、こうした女性たちが抱える問題には例えば以下のようなものがあります。
 民族衣装の制服を着た朝鮮学校の女子生徒は、常にいやがらせ、暴力、憎悪犯罪にさらされており、それらは日本と朝鮮民主主義人民共和国との間の政治的緊張が高まる度に加速します。在日米軍基地の75%がある沖縄では、女性たちが米軍男性による強かんをはじめとする性暴力のなかを生き抜いてきました。移住労働者(特に就労資格を持たない)や難民認定申請者は医療的ケアを十分に受けることができず、彼女たちの性と生殖に関する権利・健康は保障されていません。人身売買の被害者は刑法のもとで不法就労者として処罰されますが、一方で人身売買業者には不法就労斡旋罪など、軽い行政罰が適用されるに過ぎません。
 最も抑圧されている女性たちが解放されない限り、すべての女性の解放はありえません。政府はマイノリティ女性の状況について調査を行い、データを収集し、彼女たちの権利保護と状況改善のための方策をとるべきです。
 ありがとうございました。
5. 部落解放同盟 (山崎鈴子)
JNNCランチタイム・ブリーフィング発言
山崎 鈴子
(部落解放同盟中央女性対策部/部落解放同盟愛知県連合会書記次長)


私は、愛知県(名古屋市)に住む被差別部落の女性です。部落の女性にとって重要な課題は、非識字と就労、そして時には自殺にすら追い込まれる結婚差別です。日本において差別によって非識字に苦しむ女性がいることを是非知っていただきたいと思います。これについては私たちのレポートをごらん下さい。私の部落では、文字を覚え、思いを伝える識字教室を行っています。
 日本政府は、部落女性の課題を明らかにし有効な手立てを打つための実態調査を全く行っていません。実態調査とそれに基づく手立てを講じることを勧告していただきたい。
 日本政府や地方自治体は、男女共同参画推進審議会をつくっていますが、被差別部落の女性の枠はありません。当事者を審議委員に登用し、政策に反映させるよう訴えたいと思います。
6. 北海道ウタリ協会札幌支部 (多原良子)
JNNCランチタイム・ブリーフィング発言
多原 良子
(北海道ウタリ協会札幌支部)

 先住民族アイヌは、日本政府に侵略され、強制的に同化された結果、構造的な差別により130年間、教育・経済・環境において一般国民との間に非常な格差が生まれた。
 さらにアイヌ女性は男尊女卑の思想に基づき深刻な状況に陥った。厳しい差別と貧困等で教育を受ける機会が少なく、五十代以上の女性では非識字者も多く条件の悪い職業に従事せざるを得ない。
 また、配偶者も経済的・社会的地位の低いものと連れ合うことが多い。差別が厳しいので血を薄めたいとの願いから日本人の男性を選び、その連れ合いから侮蔑的言葉で傷つけられる。教育がなく社会の構造が見えないため、多くのアイヌ女性は自らの置かれた状況に気がつかない、もしくは社会的差別や偏見のせいで語ることが難しい。
 政府は、差別が助長されるといって人口調査をしないが、このことがアイヌの問題を見えにくくしている。日本政府には一刻も早くアイヌ女性の実態調査を行ってほしい。

7. ワーキング・ウィメンズ・ネットワーク (村上奈津子)

私たちは住友裁判の原告とそのサポーターでWWINといいます。日本は経済大国ですが、男女賃金格差が異常に大きいことはご存知のとおりです。正社員で男性の65パーセント、パートを含むと40パーセントです。

女性が平等に働く権利はいまだ確立しておりません。それはセクハラやDVの原因の一つでもあります。正社員の賃金差別是正裁判が20以上もあるのに、政府の報告には一切触れられていません。同期同学歴で正社員で1ヶ月2000ドル以上の賃金格差があるというのに、採用区分が違うという理由で原告敗訴となりました。これは今年の91会期のILO総会で指摘された間接差別です。

次の4つが私たちの要求です。@間接差別の禁止A均等法の指針『雇用管理区分ごとに比較』の改定B国際条約を守り差別は遅滞なく是正することC選択議定書の批准

5時からのブリーフィングで、もう一度補足させていただきます。

8. 均等待遇アクション2003 (村上奈津子)
私は昭和シェル石油を相手に裁判している野崎光枝です。今回均等待遇アクション2003の代理人としてまいりました。

私は通訳の村上奈津子です。均等待遇アクション2003は、雇用における間接差別をなくし、同一価値労働同一賃金を実現するためのネットワークです。日本では女性は結婚・出産のため仕事を続けることが困難です。そのため女性労働者の半分は非正規です。正社員並みに1800時間働いても、年収は生活保護以下です。

.ILOから同一価値労働同一賃金をパートにも適用せよと何度も勧告されているのに、日本のパート労働法はその水準に到達していません。

9. 日本婦人団体連合会 (堀江ゆり)
女性の生活実態と、生活基盤整備のための要求(5、11、12、13条に関連)

 日本婦人団体連合会には、女性団体、労組や市民団体女性部など20団体・90万人が加盟しています。私たちのレポートの中から女性の生活実態を話します。

 日本では深刻な不況が続いている。01年度の企業倒産は2万件、失業率は男女とも5%台。非正規雇用が増えて女性労働者の半数を占め、女性労働者の低賃金化が進んでいる。女性の賃金はパートを含めれば男性の50%である。

 この賃金格差と、働き続ける条件の不備から離職することによる勤続年数の格差が、年金の男女格差を生んでいる。年金支給開始年齢の65歳への引き上げ、支給額の引き下げが、老後不安を増している。

 社会保障の負担増と給付減が生活を圧迫している。自営業者が加入する国民健康保険料の滞納者が増え、高齢者医療費の上昇や労働者の医療費自己負担率の1・5倍加により、受診抑制が起こっている。母子家庭の収入は一般家庭の3分の1であるのに昨年児童扶養手当が大幅に削減され、いっそう生活が苦しくなっている。

 政府は、性別役割分担に基づく従来の社会保障と税制度の見直しとして、世帯単位から個人単位への改訂を打ち出している。それが庶民の負担増と増税によってさらに生活を圧迫する結果にならないための前提条件として、・男女が平等に就労でき報酬を得られるための条件整備、・課税最低限度額の引き上げ、・公費による最低保障年金制度の確立などの生活基盤整備が必要である。

10. なくそう戸籍と婚外子差別・交流会 (加藤登紀子)
日本では性別役割分業が非常に強いために結婚に疑問を感じた女性が婚姻届を出さないと、子どもが差別されてしまいます。私達は婚外子に対する戸籍続柄差別記載の撤廃を求めた裁判を支援している団体です。

日本では婚外子に対する差別が,今だ法制度として維持されています。婚外子への法制度上の差別としては、戸籍続柄差別記載、相続分差別規定、出生届書差別記載の強要、母外国籍父日本国籍の婚外子の場合の日本国籍の取得が困難であるという問題があります。

このような婚外子への差別は母親である女性への差別でもあります。2002年の婚外子の出生率は、婚外子への差別が厳しいため、1,9%という非常に低い割合となっています。

規約人権委員会による1993年の勧告以来、繰り返し婚外子差別に関する勧告が日本政府に対して出されてきました。しかし政府はこのような勧告を無視しています。また今年の3月と6月には、最高裁が相続差別規定について合憲の判決を出しています。

 婚外子に対する差別は直ちに撤廃されるべきです。
11. 国際女性の地位協会 (渡辺美穂)
JAIWR
12. I(アイ)女性会議なら (代理: 田中恭子)
女人禁制の撤廃を求めるNGOからの意見 【第2条 締約国の差別撤廃義務】

2003年7月
I(アイ)女性会議なら

 日本には自然(山)を神とする信仰があります。以前その信仰と女性差別の慣習のため女性が登れない山々が多数ありました。1872年、政府の方針でこの禁制が解かれ、富士山・大山等ほとんどの山が徐々に女性を受け入れるようになりました。ところが、女性差別撤廃条約を批准して18年が経過した今なお、奈良県には10kuの広大な美しい土地に女性を入らせない「大峰山」があります。

 そして現在その女人禁制地区を含む「紀伊山地の霊場と参詣道」は、ユネスコ世界文化遺産登録にむかって着々と手続きが進められています。この機会に開放かと期待していた私たちは、「女人禁制地区を含む」ことは世界文化遺産登録にあたって支障にはならないと聞き、全く納得できないで無念さと憤りを覚えています。信仰の中心となる大峰山寺では、「女人禁制は信仰ではない。女性を排除する慣習は改めるべき。」との見解を示していますが、信者や地元住民の中には「1300年の伝統を守りたい。」と、女人禁制を改めることに反対する意見が強く、現状が維持されているのです。大峰山の「女人禁制」は日本に根強く残る女性差別の意識を温存助長させるものです。強く撤廃を求めます。

 

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